母音の無声化
ここに「くま」がいます。「くさ」もあります。
「くま」の「く」と、「くさ」の「く」は同じ音だと思いますか。
音声を聞いてみましょう。
「くさ」の「く」は母音 u がよく聞こえません。
このように日本語では母音がないように発音されることがあります。
母音の無声化(ぼいんのむせいか)という現象です。
日本全体で見ると無声化が起こらない地域も多く、無声化しなくても日本語として間違いではありませんが、無声化した発音は、よりStandard Japaneseに聞こえます
無声化のルール
(1) 無声子音(p, t, k, ch, ts, s, sh, h)の間にある i, u は無声化します。
きっぷ(切符)、あした(明日)、ちかい(近い)、 えんぴつ(鉛筆)、たべました(食べました)
くすり(薬)、やくそく(約束)、むすこ(息子)、つき(月)、ふつう(普通)
ただし、sとsの間の i, u は無声化しなくてもいいです。たけしさん、おすし
(2) アナウンスするときの「~です」「~ます」の「す」の u は無声化します。
今日は日曜日です。学校に行きます。
音声を聞いてみましょう。
上記の青字の拍は母音が無声化します(母音を発音しません)。
無声化するところが複数あるとき
無声化するところが複数ある場合は1つおきに無声化が起こることが多いです。連続で無声化すると発音しにくく、聞き取りにくいからです。
無声化するところが2つある場合は
1つめが無声化しやすく、二つめは無声化しにくい傾向があります。
例:さつきさん(人名)、ききてき(危機的)、ききかんり(危機管理)
青字は無声化が起こりうる拍、下線は実際に無声化が起こりやすい拍です。
無声化するところが3つある場合は
1つめ、3つめが無声化しやすく、2つめは無声化しにくい傾向があります。
例:きくちさん(人名)、きつつき(鳥の名前)、くちくかん(駆逐艦)
ただし、3つも連続すれば、話す人によって上記どおりにいかないことも多いです。ポイントは、どこか必ず一か所は無声化するということです。
( )は母音が無声化した拍